*君に溺愛*
ーーーーーーーーー

「雅、なにしてんだよ。
こんなとこで………」
水の中に入る俺は、遠くからルナを見つめていた。

楽しそうな、ルナと若王子。

「あいつ、若王子は空手の有段者らしい。
俺居なくてもいいみたい」

自分で言いながら、なぜか悲しい気持ちになる。

「だから??
空手の有段者じゃないけど、お前強いじゃん!!」

葵…………。

「いや、きっと先輩には負ける。
身のこなしが並みじゃねー。
先輩に負けたら、自信失う。
この世の終わりだ~~!!」


ボンッ!!

「いたっ!!!」

ビーチボールが頭に当たり、そんなに痛くないのに派手なリアクション。


「ごめんなさいっ、手元狂っちゃって。
大丈夫ですか?」


「あ、いや…………あれ、君どこかで………」

たしか、委員会でーーーー。

「今日、夜の9時、私とペアだから忘れないでよ‼
逃げたら、呪うから‼」

呪っ…………マジ怖いんだけど。

「怖いのは、私の方。
女の子に、一人で見回りさせないでよ‼
絶対に来なさいよ?分かった?」


「は、はい」

気の強い女。

名前なんだっけ………?

考える時間さえ、与えず彼女は、みんなのいる場所に戻って行く。

「リコ、遅い‼
何してたの?大丈夫、だった?」

チラリ、と俺を見る女子達。

「大丈夫だよ、始めよう‼」

なんだか、拍子抜け。

「あの人、先輩のペアの人だった気がする」

若王子の??

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