*君に溺愛*
「バカっ!!
王子に気づかれる‼
王子は、知らないんだから………
きっと、誰に想われてもルナちゃんしか好きじゃないよ」

強気な先輩のイメージが、崩されていく。

悲しそうに瞳を伏せる姿が、儚げで言葉が出ない。

きっと、、俺と同じだ。
「いつか、その想いが伝わればいいね」


これしか、言えないけど。


「ありがとうっ」


ふわり、と柔らかな笑み。
優しい笑顔。


チラリ、と若王子が見た気がした。

「奈倉さん、あの…………実はお話がっ」


奈倉リコの元に、いかにもオタク系な男子が話かけてきた。

メガネが分厚く、表情は分からない。

「なぁに??「ここでは、ちょっと………」

告白か?


奈倉リコは、オタク男と歩いていった。

大丈夫だろうか…………。


チラリ、とまた、若王子が見た。

「ちょっと手洗ってくるわ」


いきなり、席を外す若王子。

なんなんだよ。

一人になるルナ。

近づきたい…………。

だけど、気持ちが邪魔してダメだ。

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