あなただけが好きだから




そういうと蓮は、私を置いて帰ってしまった。




(そうじゃ、ない、のに……)




涙がじんわりとでてくる。
喧嘩したかったわけじゃないのに……。




ただ、私のために皆に迷惑をかけてまで一緒に帰らなくていいだけなのに。




どうして、それを分かってくれないんだろう。




「ただいま……」




力なく帰ってきた私に、母は何も聞かなかった。
その気遣いがとても嬉しく思えた。




自分の部屋のベットに横になる。




「ひっく…………うぅ……」




嗚咽と共に涙が溢れてくる。
あの時、私はどうすればよかったの?
言わないほうがよかったの?




でも……。



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