総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
『ユウは俺の妹だ』
そう、自分に言い聞かせていたのは。
兄貴のように振る舞いたかったからなのか。
それとも――。
(あの子を意識しないためだった?)
「……嘘だろ」
俺の消えそうなつぶやきを聞いて、燐が頬を緩める。
「オトコは頼られるのに弱い。ましてや、あんなに守ってやりたくなる子なら特に。傍にいて、甘えられて、コロッといっちゃったんでしょ。キミは免疫ないから」
「俺は……」
「ぼーっとしてそうで。甘やかされてるだけのようで、キミにあっさり禁煙させちゃうような子なんだから。そりゃ好きにもなるって」
「っ、」
「“好きなタイプは好きな人”……なんて。笑っちゃう。もう答え、出てるじゃん。キミの好きなタイプはユウちゃんだ」
俺が……ユウを……好き……。
「今が、チャンスだよ」
「……チャンス?」
「そうさ。ユウちゃんのもっとも近くにいるのはキミなんだから。好きなら本気だしなよ。寄り添ってあげればいい」
寄り添う――…。
「ボク、ユウちゃんには幻より愁が合ってると思う」