総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「恩を売れるだけ売っておいて。断りにくくすればいいんだ。ユウちゃん、家柄は申し分ない。キミのパパだって結婚相手に納得するんじゃないかな。家ぐるみで圧をかけちゃえばいい。それとも、愁はパパの選ぶ相手と望まない結婚しちゃう?」
わかっては、いた。
俺に選択肢なんて与えられないということくらいは。
たとえそれが生涯を共にする女性でも。
きっと、俺に、選択権はない。
「それでいいの?」
ユウとなら、好きなことだけでなく。
【ただ、学校という場所があまり肌に合わなくてな。帰ってくると虚無ってしまう】
あのとき、
なさけない一面を晒せてしまったように
この先、苦手なことについてだって俺はユウに話すことができるだろう。
……ユウに、
俺のすべてを受け入れてもらえたらどれだけ幸せか。
ユウに俺の前でもっと力を抜いてもらいたい。
俺に、精一杯、甘えて来てほしい。
「手に入れちゃおうよ」
手に入れられるものなら。手に入れたい。
だけど、二人を引き裂いてまで……?
「なにも、うしろめたいことなんてないさ。恋愛は自由なんだよ」
「……俺は、」
「幻とユウちゃん。家に残してきたけど、まだ結ばれてないと思うなあ」
「……!」
「初めては、いっかいきりだよ。はやいもの勝ちだよ。もらっちゃえば、キミが」