総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
とても本人には言えそうにねーが。
言うことで気持ちが伝わるのなら
言わなければ気持ちは伝わらないのなら
俺は、こんな歪みまくった少年に
一人の人間として言葉をかけてやりたいと思う。
「お前も少しは節度のある付き合いをしてみろ」
「あはは。マジメな付き合いがいくら生むっての? 生産性ないよね。消費する一方で」
また、金か。
「金以外に大切なものが見つかるかもしれねぇだろ」
「ジンマシンでそうな台詞。気持ち悪い」
「お前、どうして今の生活続けてる?」
まっとうな仕事探せよ。
その器用さがあればいくらでもできるだろう。
「……お金は裏切らないから」
傍を通った車の走行音に燐の声がかきけされる。
「なんつった?」
「昼間優等生していれば夜は遊んでいられる。楽なもんだよね。働く苦労も知らないクセに。頼めば金も車もポンと出してもらえる分際で。偉そうに口を挟んで、兄貴ヅラして、さぞ気持ちがいいんだろうね?」
「俺がどういう人間でお前をどれだけ不快にしてるかなんて知るか。ンなのお互い様だっつーの。テメェみたいなクソガキ最初からイラつくことばかりだ。それでも燐も俺も黒梦のメンバーなんだよ。仲間だ。不本意ながら兄貴ヅラさせてもらうぜ」
「……うざ」
「それが俺の取り柄のようだ」
「やっぱりキミのこと大嫌いだよ、愁」
「俺は案外テメェが嫌いじゃないかもよ」
「頭おかしくなっちゃったの?」
「喜べよ」