総長さんが甘やかしてくる②（※イラストあり）

ほんの一瞬の、出来事だった。


「なに……しやがる」

「ほんと。無防備なヒロインみたいだね、キミは」

「……お前」

「もっかいしていい？　次はソフトなのじゃなくて。もっと濃厚なやつ」

「アホか。シネっ……」

「あー。そういう顔、悪くない。嫌がるキミに無理矢理ってシチュエーションなら全然あり。ちょっとムラムラしてきた」

「冗談も大概にしろよ」

「本気だよ。キミがオレを買えよ」


やっぱりこいつの毒矢はどこから飛んでくるかわかったもんじゃない。


「オレを止めたいんでしょ。だったらオレに鎖でもつけて、気が済むまで閉じ込めておいたら」

「……っ、フツウじゃねーよ。お前」

「あれ。キミはまだオレに“常識”が通用すると思ってんの？」


そんなこと、思ってねーよ。

思ってないけどよ。


「俺なんかに好き勝手されてテメェは納得すんのかよ」

「できるよ。嫌いでも。男でも。お客の満足度あげるためならいくらでも、なんだってする。オレはそういうやつだ。愁がそれなりに対価を支払ってくれるならお利口になるし。求められたら応える。必ずオレにハマらせてあげる」

「そんな大口叩く割にあのエミリって女性は脈なさげだったな」

「はは。……わかってないな、愁。エミリちゃんとはとっくに寝たよ」