総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
――は?
「デートしてくれないって言ってたのは」
「別にデートまでのことはしたことないよ。映画も食事も行ったことない。エミリちゃんがボクにかまうのは――せいぜいヤるときだけだよね」
「なんだよそれ」
「エミリちゃん綺麗でしょ。明るくて可愛くもある人だよね。でも、余裕ないんだ」
「……余裕?」
「うん。追い詰められていたり闇を抱えていたり。そういうギリギリな人の心は、あっさり手に入るんだよ。今、キミもぜんぜん余裕ないから落とす自信ある」
返す言葉もなくなったのは、そんな話をする燐が、天使のように微笑んでいたからだろう。
「愁がやらないなら、オレがユウちゃんに手を出すよ。ガード超緩いから、ラクショウでしょ。お姉ちゃんのフリしてメイク教えてさ。油断しきってるところ――襲いかかっちゃおうか」
「やめろ」
「あー、興奮してきた。いっそ三人で楽しいことしちゃおうよ。キミはリードなんてしてあげられないだろうから。二人まとめてオレが可愛がってやるよ。そこに幻を呼んだら――きっと死人が出るんだろうね」
「いい加減にしろ、燐」
「ねえ、わかってたんじゃないの。クズだって。オレに期待なんてハナからしてないでしょ。ずっと目障りだったんだよね。チャラチャラして、いい加減なオレが、当たり前のように幻の隣にいること。許せなかったんじゃないの? 見てればわかるよ。キミはオレを信用してないって。オレに劣等感さえ抱いてるってこと。なのに今更信じようとしてみせたり、そんなガッカリしたカオみせるのはどうして?」