総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「バイバイ」


そういってオレが立ち上がると、

愁が眉をひそめた。


てっきりオレの顔なんてもう見たくないかと思ったのに。

なんで見上げてくるの。


ほんと人相悪いね。

マフィアみたい。


……引くほど綺麗な心の持ち主のクセにさ。


少年みたいなやつだった。

かと思えば、お節介なオヤジみたいで。


そんな心、オレは、持ったことない。


「どこ行くんだよ」


そんなの聞いて、どうするの。

どこにでも行けるよ。

キミの知らないような世界に。


「ヒミツ」


大喧嘩して家を飛び出たんだってね。

それでも困ったときはいつも家の力借りてさ。


家との縁は切ってないよね。


恵まれてるんだよ、キミは。

生き方がちがいすぎるんだ。


いいや、

生まれた瞬間から一生かけて埋められないくらいの差がある。


オレは本来キミみたいに

光の当たる場所にはいられない人間だ。


……いや、オレは人間でもないか。


人を傷つけても傷まない心。

むしろ笑えてきちゃう。


ねえ、愁。


――オレってナニモノなのかな?


「ユウにメイク教えてやる約束は」

「べつにー。今日って決めたわけじゃないし。そもそもに、義務なんてないし。教えないからって死刑にあうわけでもないし」


その約束が果たされることなんて

もう、ないよ。


「また今度って伝えておいて」

「楽しみに待ってると思うぞ、あの子は。……お前のこと」


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