総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


燐さんの帰ったあとのリビングは静かなものだった。


「やっぱりアイツは嵐だな」

「ふふ。ですね」

「さて。勉強するか」

「夜、食べたいものあります?」

「……ユウは」

「わたしですか? わたしは……」

「食べられそうか」

「……!」


もしかして愁さんも気づいてくれていたの?

わたしがここ二日、調子悪かったことに。



「すまない。燐に言われて気づいた」

「燐さんが……」

「こんなに近くにいたのに気づいてやれなかった。俺が一番に気づくべきだった」

「そんなこと……!」


どうしても愁さんに気づかれたくなくて。

愁さんの前でいつもより元気を出してしまったのは、わたしだ。


「冷蔵庫にヨーグルト入ってたな。あれは幻が?」

「は、はい。食べられそうなら食べてって。でも……もうご飯食べられると思います。心配かけて、ごめんなさい!」

「だったら、うどんとか。おかゆとか。俺が作ろうか」


愁さん、優しいなぁ。

愁さんだけじゃない。

本当に、みんなの優しさに救われている。


「それが、もう、体調の方はビックリするくらいによくて。わたしに作らせて下さいね! あっ、これはから元気じゃないですから!」


ガッツポーズをしてみせる。


すると、愁さんが笑った。


なんだろう。とっても。


――切なげな、笑顔。


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