総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「待って……!」


待ってくださいよ。


「開けていいですか」


開けてくださいよ。


「愁さん……」


愁さんの部屋の扉をノックする。


「しばらく一人にしてくれ」


返された返事は、冷たく。


「……どうして」


仲良くなれたと思ったのに。

兄妹みたいって、思えたのに。


「頭、冷やしたい」


ドアノブをさげようと思っても、さがらない。

内側から鍵をかけられているんだ。


「別に君に出ていって欲しいわけじゃないし。嫌いになったとか。迷惑とか。そういう理由じゃない。……本当にすまない」

「それじゃ……、わからないですよ」


燐さんに、なにを言われたの?

なにに苦しんでるの?


「言えない」

「聞きたいです」

「言わないほうが、いいんだ」

「言ったじゃないですか、愁さん。吐き出したらラクになったって。わたしも同じなんです。今日、幻さんに全部吐き出したら気持ちが軽くなって。愁さんにも溜め込まないで欲しい……!」
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