総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


――…!


「君が幻のものであるのが、悔しい」


こんなに想いが伝わってくるのに

わたしは、


「想像していたよりずっと、苦しいものだな。想いが報われないというのは」


愁さんの気持ちには、応えられない――。


「……ごめん、なさい」

「いや。謝る必要ない。わかっていたことだ」

「…………」

「だから一人になりたかった」

「…………」

「いや。違うか」


愁さんが、わたしに近寄ると


「一度だけ抱きしめさせてくれ」


――優しく、わたしを包み込んだ。


言葉を交わすことなく

時間だけが、流れていく。


「ユウ」

「はい」

「俺は君と、こうしたかった」

「……っ」

「見れないんだ、もう。特別な目でしか」

「……はい」

「逃げないのか」

「はい」

「怖くないのか。突然こんなことをする俺が」

「愁さんだから、怖くないです」

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