総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「随分信用されてるんだな。俺は」
そう言うと、背中にまわされた腕が離れていって。
ベッドに腰掛ける愁さん。
「ここに押し倒す力だってあるんだぞ」
「……!」
「君の自由を奪い。君の、意に反した行動にでることも容赦ない。いくら経験がなくたって欲なら人並みにあるからな」
強引な愁さんは、想像できない。
できないけど。
それも、愁さんなんだ――。
「ごめんな。俺はユウが思っているほど優等生でもない」
わたしは、頭を横に振った。
たとえ愁さんが“優等生”じゃなくても。
お兄ちゃんみたいじゃ、なくても。
……男の人、でも。
やっぱりわたしは愁さんが好きだ。
「幻さん、他意はなかったと思うんです」
「……なに?」
「本当に妹みたいに思って可愛がってやれと。考えてくれたんだと思います。意識するな、なんて。きっとそんなこと考えてません」
愁さんが口元を緩める。
「君は、こんなときも人の心配か」
「あっ……いや……」
「ああ。知ってる」
……そうですよね。
「愁さんは、わたしより、幻さんのこといっぱい知ってます。それがわたしは悔しいです」