総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「お前貯金とかしてなかったのかよ」

「ボクの財産、狙ってんのー?」

「誰が狙うか。家借りる金ねーのかってハナシだ」

「契約できないし」

「ああ。……そうか。それで俺の家」

「誰かさんにライフスタイルを全否定されたからねぇ」


愁さんが、口を歪めている。


ひょっとしたら燐さんは

愁さんになにか言われて家をでてきたのかな。


……“生き方”を、変えるようなことを。


「魔法のカードも返してきたよ」


(魔法のカード?)


「いちばんの収入源失っちゃった。ビンボーになったんだ。だからかくまってね」

「……ハイヨ」


燐さんに完全にペースを奪われている。


燐さん、いつになく楽しそう。


「お風呂は一番風呂に入らせてね」

「させるか」

「えー、一緒がいいの?」

「もっと嫌じゃ」


弟の成長を見守る兄の図、って感じだ。


「ユウちゃんはともかく。ガリ勉との共同生活じゃ萎えるなあ。週に二日くらいはお姉さんと健全にデートでもしよう。健全にカレシの愚痴とか聞きながら、健全に生肉を食らう」

「健全って単語つけても不健全だ」

「なんで? ご飯だけだよ?」

「そんなポンポン飯奢ってもらうガキがどこにいる。つか、縁切ってきたわけではないのか?」

「おおかた切れたよ。でも、やっぱり人脈は大事にしておかなきゃね。情報屋の方は続けるよー」

「……まあ。好きにしろや」

「ボクがお姉さんたちと仲良くしたら困るって愁ちゃんがいうなら。メモリー消去してあげなくもないよ?」

「誰が困るか」
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