総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
燐さんが借りた(奪った?)部屋に、燐さんと二人でやってくる。
愁さんはここを物置き部屋だなんて言っていたけれど、広さは十分にあって。
そのうえ物はきちんと整理されていて、今日から寝泊まりするのになんの問題もなさそうだ。
「これなんて、ユウちゃんに似合いそう」
そう言ってダンボールから取り出したのは、膝丈のプリーツスカート。
赤よりも濃い、赤紫色。
ワインレッド、という色らしい。
「アイボリーのブラウスと、スカートと同色のベレー帽なんて合わせたら絶対に可愛い。でも、これは秋モノだね。もうちょっと我慢。はあ、素材いいとコーディネートする方も楽しいなあ」
ウキウキしている。
メイク、ウィッグ、洋服に小物。
燐さんのおかげで外を出歩く勇気がわいてくる。
「ボクの使ってるシリーズのウィッグは、帽子かぶればまず地毛に見えるし、遠目なら自然だよ」
「そうなんですか……!」
「ただ、装飾品多いと『変装感』は出るから、やるならそれ相応のファッションにする必要があるよね。派手めにするなら原宿系とか、ゆめカワとか。思い切ってロリータしても超似合いそう」
なにを言われているか理解できない。
けれど、ファッションを語る燐さんは本当に楽しそう。
「オシャレ本当に好きなんですね」
「ボクが服を選ぶっていうか。服がボクを呼んでるっていうかー」
「将来は、そういうお仕事につくのピッタリって感じですね」