総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
てっきり、
『余裕〜』って感じで、明るく答えてくれそうな気がしたのに。
燐さんが黙ってしまった。
「……燐さん?」
「たとえば?」
「え?」
「どんなのに向いてそうかな、ボク」
そりゃあ、燐さんだったらモデルさんもいけますよね。
「渋谷に、大きな看板あるじゃないですか。スクリーン?……みたいなのも」
アクセサリー、時計、洋服、映画などを宣伝しているものだ。
「ああいうのに、燐さんがドンと大きく載ってても違和感ないです。というか、燐さんの宣伝効果は間違いなく抜群です」
思わず立ち止まって見てしまうだろうな。
あのモデルさんと同じメイク道具が欲しいって思うだろうな。
「期待してくれてるとこ悪いけど。ボクはもう表舞台には立てない人間だよ」
「そうでしょうか?」
「そうさ。その場しのぎでやってきた“仕事”とはわけがちがう」
「仕事……」
「ユウちゃんには想像できないかもしれないけどさ。ボクは大勢の人たちを楽しませてきた反面、敵も作ってきたからねぇ」
「…………」
「イメージが売りの仕事で。社会的に真っ黒なイメージのついちゃってるボクはどう誤魔化したところで輝けないよ」
「……“悪いこと”をしてきたから?」
「そうだね。そのツケがまわってきた気分」