総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「目、閉じて。そう。そのままね」
「……燐さん。もう、いいです?」
「まだあけちゃダメ」
「あとどれくらいですか」
翌朝は台風が接近していて、お仕事がお休みになった。
「一時間、くらいかな」
「マスカラってそんなに乾くのに時間かかるんですか!?」
「うそだよーん」
「……へ?」
「もう、とっくに乾いてるんだけどね。ユウちゃんが目を閉じている間にイタズラしたいだけ〜」
「なっ……」
「メイク中の女の子って。この上なく無防備だよね」
慌てて目をあけると、至近距離に燐さんの顔が。
「近っ……!」
「うん。かわいーね」
「……ほんとですか?」
「うん。だから、チュウでもしとこっか」
「だから、じゃないですよ」
ただいま、燐さんと
『どれだけ変われるか試してみよう』ということで、絶賛メイク中なわけでして。
「おい燐テメェ、幻のいないすきにユウに手ぇ出すんじゃねーぞ」
幻さんはお昼までにお仕事を切り上げると言っていた。
愁さんは休校になったから家にいる。
「あーあ。口うるさいメガネがいなかったら、ユウちゃんと二人きりだったのな」
「いやここ俺の家ってこと忘れるなよ……?」
「まあ、愁いてもいなくても。どっちでもいいけどね。気にせず続けようね、ユウちゃん♡」
「メイクだぞ。続けるのは、あくまでメイクだからな」
やっぱり燐さんの冗談は減らないし、イタズラっぽいこと言って愁さんをイラっとさせているけれど。
出会ったばかりの頃に比べ、すっかり仲良しって感じだ。