総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
ビューラーというものでまつ毛を挟んでくるんと巻いて、そこにマスカラというアイテムを塗ってもらった。
「目力がアップしました!」
「だよねー。あ、カラコン入れてみる? そうすればユウちゃんの“お人形さん感”が更に増すねぇ」
「……の、呪いの人形?」
「ちがうちがうー。思わず抱きしめたくなるような、かわいい人形だよ」
続いて
アイラインというペンで目の縁を囲まれる。
目尻を丁寧に仕上げているみたい。
「こっ……これは」
「どう?」
「わたし、どちらかというとタレ目なのに」
「ビックリした?」
「はい」
猫の目みたいになった。
つまり、少しつり気味の。
「おお……。すげぇ」
近くに座っていた愁さんが、手元の参考書そっちのけで、わたしが変えられていく様子を眺めている。
「恐れ入ったー?」
「ああ。つか、やっぱ燐は器用だな。俺にはとても真似できねーわ」
「ユウちゃんは普段まったくメイクしないから、これだけでも変化が大きいよね」
「それはそれでありだな」
「あれー、愁くんは、メイク薄めな女の子が好きなんじゃなかったの〜?」
「……ユウならどっちでも可愛い」
「やだなー。鼻の下のばして。っていうかオッサンは女子トークに入ってこないで」
「だれがオッサンじゃ。なにが女子トークじゃ。だからここは俺の家……」
「うーるーさーいー」
「クソが」
そう言うと、愁さんは呆れたように部屋に戻って行った。
やっぱり喧嘩はなくならないんだなあ?
愁さん、休校だからって休んでいられないみたい。
これから夜まで勉強するんだろうな。