総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
たった一週間で、
多くのことが変わってしまった。
世間も。
そして、自分自身も。
「変わるって。悪いことでもないです」
「え?」
燐さんと愁さんの距離が縮まっているみたいに。
わたしの、幻さんへの愛が深まるみたいに。
「いろんなことが移り変わる中で。燐さんのこと、弟であり、妹であり、お姉さんであり、お兄さんみたいに想う気持ちは変わらないです。変えたくないです」
今度は、ちゃんと顔を見て言えた。
毎日だってときめいちゃうほど、綺麗な燐さんの顔を。
「……ありがとう、姫」
「ユウちゃん、で。いいですよ?」
「そう呼びたくなった」
「じゃあ、燐さんはナイトですね」
「はは。ナイトって騎士? そんな柄じゃないでしょ。鋭い武器は持ち歩いてるけど」
「それは銃刀法違反では」
「そうはいっても、護身用だよー? 可愛いからさぁ。ヘンタイさんに目をつけられやすいんだよね。これがないとボクはとっくに危ない目にあってたし。キミを救ったときも、いざというときはオジサンに使わなきゃヤバかったし」
そういってカバンから軽快に取り出したのは、刃渡り10センチはありそうなナイフだった。