総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「スローイングナイフ。したことあるんだけど、あれ結構楽しいんだよねぇ」

「スローイング……。ナイフ投げ、ですか?」

「そうそう。サーカスとかで、あるやつ」


想像してすぐに怖くなってやめた。


「外したらと思うと恐ろしいです」

「そのスリルが楽しいんじゃん。クズ相手なら失敗しても問題ないし」


いやいや。たとえ、いくら凶悪犯罪者相手でも、ナイフ投げて刺さればトラウマになりますよ燐さん。


「ところでさー。ユウちゃんから見てボクに男っぽいイメージは少しでもあるの?」

「そりゃあ、ありますよ。オレって言ってるときは、やっぱり男の子なんだなって感じですし。カッコイイ雰囲気になります」

「…………」

「燐さん?」

「あのさ。ユウちゃん」

「はい」

「おかしなこと言っていいかな」

「なんです?」

「カッコいいって言葉、自分であんまりしっくりなくてさ。それこそタキシード着て髪あげてるときとかは言われないこともないけど」


正装姿の燐さんは、全然想像できない。


でも。


「異国の王子様みたいになるんだろうな」

「なろうと思えばいくらでも」


絶対に美しいに違いない。


「男らしさを出すといつもと違う感じでチヤホヤされて。隣にいる女性は満足そうで。そういうの、退屈なんだよね」

「なるほど」

「でも、可愛いねって言われるのは割と好きなのかも」

< 208 / 271 >

この作品をシェア

pagetop