総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「スローイングナイフ。したことあるんだけど、あれ結構楽しいんだよねぇ」
「スローイング……。ナイフ投げ、ですか?」
「そうそう。サーカスとかで、あるやつ」
想像してすぐに怖くなってやめた。
「外したらと思うと恐ろしいです」
「そのスリルが楽しいんじゃん。クズ相手なら失敗しても問題ないし」
いやいや。たとえ、いくら凶悪犯罪者相手でも、ナイフ投げて刺さればトラウマになりますよ燐さん。
「ところでさー。ユウちゃんから見てボクに男っぽいイメージは少しでもあるの?」
「そりゃあ、ありますよ。オレって言ってるときは、やっぱり男の子なんだなって感じですし。カッコイイ雰囲気になります」
「…………」
「燐さん?」
「あのさ。ユウちゃん」
「はい」
「おかしなこと言っていいかな」
「なんです?」
「カッコいいって言葉、自分であんまりしっくりなくてさ。それこそタキシード着て髪あげてるときとかは言われないこともないけど」
正装姿の燐さんは、全然想像できない。
でも。
「異国の王子様みたいになるんだろうな」
「なろうと思えばいくらでも」
絶対に美しいに違いない。
「男らしさを出すといつもと違う感じでチヤホヤされて。隣にいる女性は満足そうで。そういうの、退屈なんだよね」
「なるほど」
「でも、可愛いねって言われるのは割と好きなのかも」