総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
たとえば、距離感。
愁さんや燐さんが傍にいてもドキッとする。
でも。
『夕烏』
――幻さんのときとは、ちがう……。
やっぱりなにかが大きく違うと感じる。
それは理屈じゃなかったりする。
「逆に、質問してもいいですか」
「いーよ」
「どうして愁さんを応援するんですか」
「……え?」
「幻さんとわたしを離したいわけじゃ、ないですよね」
そんなイタズラっぽい感じじゃなかった。
真剣な、顔してた。
【あいつは、あいつの魅力あるでしょ】
本気でそう言っていた。
「見たかったのかもね」
「……なにを、ですか」
「愁が幸せになるところを」
「!」
「失恋の痛みなんてボクにはわからないけど、愁はユウちゃんが初恋でしょ。すぐに立ち直れるようなメンタルしてないんじゃないかなー。図体の割にガラスのハートの持ち主だし。さっきも、昨日の夜だって。なんともない顔して結構こたえてると思うよ。だから、あいつを幸せにしてやれたらいいのにって思っちゃった」
「……燐さん」
「ほら、あいつって、せいぜい当て馬っていうか」
「アテウマ?」
「いまいち押しが足りないっていうか。鈍いし。好きな子の応援して、結局自分は身を引いてさ。この先もそんな感じで最終的に見合いとかで親の決めた結婚相手と一緒にさせられる未来がみえるんだよねぇ」
だから燐さんは
わたしに愁さんをすすめてきたの?
「……あの」
「んー?」
「ここは、燐さんの出番では」