総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
スマホ貸して、と言われ
わたしのスマホを燐さんに差し出した。
なにが始まるんだろう?
わくわくする。
「こんな風に貸すのは信頼できる相手だけにしなよ?」
「え?」
「一分もあれば、イタズラできるんだから」
「イタズラ?」
「たとえば、写真見せてーって言われてボクにスマホ貸してさ。ユウちゃんがよそ見してるうちに、何くわぬ顔でボクがこのスマホにイタズラするんだ」
「どんなイタズラです?」
「イロイロあるけど。たとえば――盗聴・盗撮アプリ」
「盗撮!?」
「遠隔操作で、ユウちゃんの様子をさぐったり。ユウちゃんのスマホの画面には、なにが今開かれているか。どんな履歴書があるか。誰とどんなメッセージや会話のやり取りがあったか、覗かれ放題になることも」
「……そんなことができるんですか?」
「できるよ。ユウちゃんなんて、特に自分のスマホになにか異変あっても気づかないタイプでしょ」
否定できない。
まだ、使い慣れてはいないし。
「だからー、もう一度言うけど。信頼できない相手には貸さないでね」
「はい!」
「ところでボク、喉がかわいたなー」
「なにか持ってきますよ。お茶がいいですか。ジュースなら、たしかカルピ……あ、ちょっと確認してきますね。愁さんが買い出ししてきてくれて、増えてるかもです」
「ユウちゃんアウト」
「はい?」
「ボクにスマホ渡したままキッチンに向かおうとしないで」