総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
午後になって、
いよいよ本格的に暴風域にはいると
窓がガタガタと音を立てているし
マンションの上階なので、揺れも感じる。
午前中で仕事を切り上げると言っていた幻さんから、連絡がない。
いや、連絡するとは言われていないけれど。
心配だなぁ。
無事に家に帰れたかな?
あの家の屋根……
飛んでいったりしないよね?
「オッサンとこの店。大丈夫かよ」
お昼ご飯を食べに部屋から出てきた愁さんが、同じことを考えていた。
「寝てたのー?」
「ああ。少し仮眠とってたが……って、なんでわかった?」
「寝癖ついてるし。メガネかけたまま寝たでしょ。ヘンな跡ついてるよ」
「……マジか。まあ、なんでもいいけど」
「そんなんだから彼女できないんだよ」
「うるせぇ。できるときになったら、できるわ」
「ユウちゃんからも、言ってやってよ。だらしないって」
(わたしから……ですか!?)
愁さんと、目が合う。
「いえ、わたしは……おうちでまで気を張る必要ないと思います。学生モードのときも、夜も、別の意味で愁さんにはキャラがあって。自宅でくらいは、完全に気を緩めていた方がいいかなって。思います」
「……嫁にしたい」
「愁、本音漏れてるよ。幻に聞かれたらコロされるよ」
「ハッ……俺は、今なにを……」
「はあ。天然たらし炸裂なんだから、ユウちゃんは」
たらし!?
「カワイソウな愁くん。午後は机に向かわずにさ。ひと息ついたら? ボクが可愛がってあげるよ」