総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
頭を抱える愁さんを見て、お金を出して買った口座が良くないものだと気づく。
「これまでは、手段は……置いておいて。コツコツ仕事して稼いできたんだろ。それをやめたなら、時間できるんじゃねーの?」
「うん。前よりは暇になった」
「なにか、始めようとは思わないわけ」
「なにをー?」
「そんだけ金ありゃ、通いたい学校にも行けるだろ」
ちがうよ、愁さん。
燐さんは。
【無戸籍って知ってる?】
燐さんは。
【どうして普通になるのに苦労しなきゃならないの】
やりたいことをやりたいって言うのが
きっと、人の何倍も大変なんだよ。
「あー。裏口入学?」
「ちげぇわ。頭悪くねーんだからさ、お前。勉強して――」
「出たー。保護者ヅラ」
「はあ?」
「せっかく生まれながらにしてウザい両親がいない快適な環境なのに」
そんなこと、思ってないですよね。
「頑固オヤジ兼、教育ババア。めんどくさーい」
「俺はお前のためを……」
「自分はやりたくもない勉強してるのに目の前でニートされるのが目障りで、出ていってほしいなら。そう言ってよ」
ちがうよ燐さん。
愁さんは、燐さんのこと目障りなんかじゃない。