総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
昼間なのに、空が暗い。
窓の外についつい目を向けてしまうのは――。
「幻さん、家に着いたでしょうか」
彼のことが気になってしまうから。
「連絡してみたら?」
「え!?」
「そんな驚かなくても。普通に、仕事終わったの、って感じで」
「……いいんですかね?」
「遠慮する意味がわからんな。むしろあっちは大喜びするだろ」
「ほんとに?」
「こっち、来ればいいのにな。この天気で――あの家に閉じこもってやることといえば、バイクいじるくらいかな。あいつの場合」
「ですね。お疲れでしょうから、ゆっくり眠って欲しいです」
「いっそうちで寝泊まりしてもいいけどな」
「え?」
「ユウの送り迎えもあるし。いつか一緒に住むっつってもそう簡単に決められねーだろ。この際もう一人増えたところで俺は困らんが」
「愁さん……」
「ここ、便利だろ」
「シェアハウスみたいで。楽しそうですね」
「俺から声かけても遠慮するだろうから。ユウから誘ってやれよ。嫌なら別にいいけど。ここまでくると、あいつだけ一人ってのもな?」
「はい……!」