総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「あーん、して」
甘える燐に
「今日だけだぞ」
「わかってるよ。念押さなくても。ムードないなあ」
「なんのムードだ、なんの」
振り回されるなんて、慣れているのに。
俺の持つスプーンから食事をとる燐は
いつもマセガキなのが嘘だと思えるくらい
「このスープ、ユウちゃんの手作り?」
「ああ」
「美味しいね」
小さな小さな子供のようで。
「そうだな」
「あー、でも。今度は愁の手作りスープも食べさせてね?」
なんだろう、この気持ち。
今なら。今だけなら。
コイツにハマって抜け出せないイケない大人の気持ちが……。
(わかってたまるかぁあ!)
「呆れを通り越して尊敬する」
「なにがー?」
「人のツボつくの上手いというか。ああ、そういうところが好かれるんだなって思うわ」
「…………」
「どうした?」
「なんでもない」
いや、なんでもないと言われると気になるが。
「言えよ」
「別にキミにはそんな考えない」
「は?」
「落として金ふんだくってやろうとか。ていよく、いただいちゃおうとか」
「当たり前だ」
「純粋に。甘えたい」
「……は?」
「こんなの初めてかも」
「幻にだって甘えてんだろうが」
「幻は、ある意味、オレの初恋だから」
「……そうかよ」
「男が惚れる男だよね」
「そうだな。あいつも、色々あったみてーだからな」