総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
――ちがう。
「探したよ」
……愁さんの声じゃ、ない。
この声は。
「ここにいたんだね?」
品行方正な身なりから想像できないほどの
「なあ。お前、俺に恥かかせたいのか?」
――冷徹さ。
わたしに近づいた途端
声色が、大きく変わった。
「帰るぞ。クソ女」
掴まれた手を振り払いたいのに、かなわない。
「宗吾さん、」
「兄さんと呼べ。嫌がるな。周囲に怪しまれる」
「……兄さん。なんでここが」
「どうしてわかったか? そんなもの、独自に調べたに決まっているだろう。警察に任せていたらいつ見つかるかもわからないからな」
抵抗したら、騒ぎになる。
だけどこの男について行ったら
また、わたしは、あの暮らしに――。
「待てやコラ」