総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「……っ」
やってきたサトルさんに腕を掴まれた宗吾さんが、わたしの腕を離す。
「俺の弟子さらうなんざ。いい度胸してんな、ぼっちゃん」
引きつった宗吾さんの顔が、途端に穏やかになる。
「あなたは、先程の……」
「紳士のフリしても無駄だ。一部始終見させてもらった。悪いけど俺が来たからには指一本触れさせねーぞ」
かばうように、わたしの前に立つサトルさん。
宗吾さんは諦めたようにため息をつくと、
「今日のところは、帰ろう。だが。必ず夕烏は連れ戻させてもらう」
「逃げんのかよ」
「俺も怪我はしたくない。無駄に力だけつけたサルに、理解を求めても無駄なようだからな」
「へえ。俺が誰か知ってるみてぇだな。ユウの身辺調査しすぎなんじゃねーの? ストーカー野郎」
「育ちも悪ければ身分の高いものへの口のきき方を知らないらしいな」
「そっちこそ養われてるガキのクセして生意気なんだよ」
睨み合う二人。
そろそろ周りの人たちの視線が気になり始める。
「改めて迎えに来よう」
「二度と来んなバーカ」
「夕烏が帰るべき場所は、うちだ。他にどこにもない」