総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


どうしてそんなこというの。

どうして縛るの。


どうせ、必要じゃないのに。


またわたしを家政婦にするため?


「……おばさんの、指示ですね?」


サトルさんの影から問いかける。

宗吾さんは、なにも答えない。


「世間体を気にしたおばさんから連れ戻すように頼まれたんですね。誘拐事件ならまだしも。家出なんてわかれば、恥になりますもんね」

「いつからそんな口をきくようになったんだお前。……やはり不良どもといるから、悪影響を受けたのか」


どこまで調べたの?

幻さんのこと、知ってるの?


「お前をかくまっているやつらの存在も。寝泊まりしているマンションも、特定済みだ。いつでも迎えに行けるということ。そして、誘拐犯を捕まえられることだけは覚えておくんだな」

「誘拐じゃない!……わたしは、自分の意思であんなところを――」

「ユウ。大きな声出すな」


サトルさんに口元を抑えられ、ハッとする。


宗吾さんは

商店街の人混みに姿を消してしまった。


< 260 / 271 >

この作品をシェア

pagetop