総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
――え?
『いつも店前でおりてんだろ。そうじゃなくて、裏口に続く細い道通って送ってもらえ。あそこは俺の休憩所その2だが、特別にバイクの乗り入れを許可してやる』
「えっ……と」
サトルさんは、なにを言っているの?
わたし……
出勤して、いいの?
『それから、店にパンを並べる作業。あれは当分俺がやる。いいか、お前がウロチョロしていいのは厨房と事務所だけだ』
「…………」
『返事は?』
「わたし。これからも、そこで働いていても……いいんですか?」
『ああ? 嫌なら辞めろ』
「イヤじゃないです! 辞めたくないです……!」
『ははは。そう言うと思ってた』
――サトルさんっ……。
『世に出回ってる写真。今のお前と全然ちげえな』
「……そうですか?」
『美少女とか言われてるけど』
「ああっ……そのことには触れないでもらえると……ウレシイデス」
『死相でてるっつーか』
死相!?
『今の方が、よっぽど幸せそうだよお前』
「……!」
『この前、言ってたやつ。“人生が輝き出した”だったか? あながちウソじゃないみてえだな』