総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


――え?


『いつも店前でおりてんだろ。そうじゃなくて、裏口に続く細い道通って送ってもらえ。あそこは俺の休憩所その2だが、特別にバイクの乗り入れを許可してやる』

「えっ……と」


サトルさんは、なにを言っているの?

わたし……

出勤して、いいの?


『それから、店にパンを並べる作業。あれは当分俺がやる。いいか、お前がウロチョロしていいのは厨房と事務所だけだ』

「…………」

『返事は?』

「わたし。これからも、そこで働いていても……いいんですか?」

『ああ? 嫌なら辞めろ』

「イヤじゃないです! 辞めたくないです……!」

『ははは。そう言うと思ってた』


――サトルさんっ……。


『世に出回ってる写真。今のお前と全然ちげえな』

「……そうですか?」

『美少女とか言われてるけど』

「ああっ……そのことには触れないでもらえると……ウレシイデス」

『死相でてるっつーか』


死相!?


『今の方が、よっぽど幸せそうだよお前』

「……!」

『この前、言ってたやつ。“人生が輝き出した”だったか? あながちウソじゃないみてえだな』

< 29 / 271 >

この作品をシェア

pagetop