総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
××さんに似た少女を見かけたという若者からの目撃情報が入りました。渋谷から中継でお伝えします。
――どこで見かけられたのですか?
『駅前。ちょうどそこに、俺は友達と座ってて。前を横切ってったんだ』
――そのときの彼女の様子は?
『一人だったよ。可愛いから声かけようかとも思ったんだけど、やめた』
――どうしてやめられたのですか?
『話しかけるすきがなかったというか。ぼーっとしてたら誘ったんだけど、目的あってここに来たって感じだったね。あのとき俺が声かけてたらあの子……消えなかったのかな』
続いて、
この街の人たちにインタビューしていきたいと思います。
――今回の失踪について。あなたは、どう思われます?
『えー、カレシのとこにでも泊まってるんじゃない? うちなら一週間とか普通に家あけるけどね。こんなに騒がれたことないよ。やっぱりお嬢様は違うなぁ』
――家出したいと思ったことは。
『あるある。あたし、お金あったらあんな家いますぐ出てくから』
――あなたは渋谷によく来られるんですか?
『うん。そうだよ』
――この少女に見覚えは?
『わあー。これって生放送? あ、ちがうんだ。その写真の女の子を見つけたらお金もらえるの?』
――いえ……そういった話は今のところ出ていませんね。
『誘拐かな? だったらかわいそうだねー。この街には悩める少年少女が集まるから、そうとも言い切れないかもしれないけど』
――君も悩みがあるんですか?
『そんなこと全国に晒さないでよー。っていうか。ボクみたいなやつ地上波に流しちゃっていいの?』
――それは、どういう……?
『あは。なんでもない。ねえ、取材いつ終わるの。ボクと遊ぼうよ――、お姉さん』