総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
たった数日でなにが変わると思われるかもしれない。
それでもわたしは、この数日間で、たしかに変化があった。
それは内側だけでなく、外側にも現れている。
伝わっているんだ。
わたしがここにいて、どれだけ救われているかということが。
だから、幻さんだって――。
【ここに来てよかったな、お前】
愁さんと分担して作ったナポリタンを食べた、あのとき。
あんなことを言ってくれたんだよね。
「ありがとうございます、サトルさん」
『半分はスミレのアイデアだ』
「でも、もう半分は、サトルさんがわたしを想ってくれてのことなんですよね?」
『お前、根気だけはあるからな。またチャラいの来ても面倒だろ……続けるなら続けろってことだ。お前がいないとやっていけないわけじゃねえよ』
サトルさんの憎まれ口には、もう慣れた。
むしろ気を使うなと言われている風にさえ感じられる。
「本当に、ありがとうございます」
『それじゃあな。また明日』
「はい。また明――」
サトルさんからの電話を終えようとした、そのとき。
携帯電話を奪われた。
(……幻さん?)
「お電話代わりました。夕烏の恋人の、カワサキです」