総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
そう言われて思い浮かんだのは、なぜか、ユウの寝顔だった。
よほど疲れていたのだろう。
あの子がリビングのソファで寝ていたことがある。
布団の方が寝心地いいだろうに、なんて考えながら俺は毛布をかけてやった。
そのとき。
『……ん』
寝返りしたユウを見て。
――…心底かわいいと思った。
「抱きしめたくなったりしないの。すきだらけでしょ。キスしてやろうとか考えないの?」
「アホなこと言ってねーで。さっさと済ませるぞ」
想像もつかない。
できるかできないか以前に、俺が女子とそういうことをするイメージがわかない。
ましてやユウとなんて。
……考えてもみなかった。
俺が仮にユウに“抱きしめたい”などという感情を抱くならば、変なハナシ、たとえば孫を溺愛するジイサンに近いような気がする。
つまるところ、愛(め)でたい。
美少女だからってわけじゃなく、なんつうか、全体的に愛しいと感じる。
……うまく言えないが。
「あー、ストップ」
「今度はなんだよ」
「あっち行こうよ」