総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
デパートから一転、複合商業施設にやってきた。
移動は徒歩でできるくらいの距離にある建物だが、さっきいた場所とは随分と雰囲気が違う。
ショーウインドウや店先から眺めた店内の様子、客層から明らかにこちらは若者向けだと判断できる。
特に女性が多いが、カップルも少なくない。
いずれにせよ俺がふらりと足を踏み入れるには敷居が高い。
(ギャル……多いな)
「やっぱりこっちの方がいいね」
燐がつぶやく。
買いたいものが見つかりそうという意味なのだろうか。
なんでもいいがはやく済ませて帰りたい気持ちは膨らむ一方だ。
幻のとこのバイク屋にいる方が百倍居心地がいい。
次第に聞こえてきたのは、雑音混じりの無駄にデカイ機械音。
ジャラジャラと耳につくメダルの擦れる音。
……大量の、ぬいぐるみ。
「おい、ゲーセンじゃねーか」
「これユウちゃん好きそうじゃない?」
燐が覗いたクレーンゲームの中には手のひらサイズのウサギのぬいぐるみがぎっしりと詰め込まれていた。
「そうか?」
「っていうか、ユウちゃんに似てる」
「……言われてみれば」
特に、白くて耳がたれてるやつが。
って待て。
俺はなんで燐とゲーセンにいる?
「あれ撮ろ」
「ああン?」
向かったのは――。