総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「綺麗にまとめてるとこ悪いけどさ。男女間の付き合いに関する理想論みたいなの、寒いとしか思わないんだよね」
そういえばこの前ニコマー(俺たちのたまり場のコンビニのことだ)の駐車場に
燐に“女を取られた”と乗り込んできチンピラがいた。
結局幻にボコボコにやられて
挙げ句の果てには
“彼女はやる”と命乞いをしてきやがった。
燐は面白がるようにそいつらの命を奪おうとした。
そのときなぜか俺は
――燐が、キレていたように見えた。
最後はどうでもよさそうに扱っていたし、ケロっとしていたが。
(……あれはなんだったんだ?)
「極論、みんな欲求満たす相手が欲しいだけでしょ」
「もういいだろ。俺に恋バナしてくることがまず間違いだ。そしてなぜ休日をお前とこんな風に過ごさなきゃなんねーの」
そのとき。
そばを通った女子二人組が燐をみた。
「めっちゃ可愛い」
「顔小さ」
燐は、周囲から完全に女だと勘違いされていた。
俺たちの会話を聞かれなきゃ男だとは悟られないだろう。
やはりコイツには自然と人を惹きつける魅力があるらしい。
認めたくはないが、認めざるを得ない。