総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
――女子の一人と目があった。
「強面カレシもかっこいい」
「愛されてるんだろうな。羨ましい」
……なんだ、いまの。
「よかったね、愁」
「は?」
「かっこいいー、だってさ」
「…………」
まあ、褒められて悪い気はしねーが。
俺が燐のこと愛してるなんていう気持ちの悪い想像はするんじゃねーよ。
「愁って人相悪いけど、それがウケてたりするよね。とりあえず付き合ってみたらいいのに。深く考えずにさぁ。このまま問題集とバイクだけが恋人でいいの? キミの欲求ってそれで全部満たされるわけ」
言いたい放題いいやがって。
「誰かと交際をスタートさせるときは、まずは好きな気持ちがあるのが前提条件だろ。好きなやつがいないってことは、今はカノジョ作るタイミングでもねーんだろうよ」
「出た。カッチカチの考え方。愁と結婚したら、不倫も離婚もされなさそう」
「するかよ」
「そんなので人生楽しい?」
“そんなの”……か。
たしかに曲がったことが嫌いなせいで、いろんなことが歪んで見える。
人がちょっとした冗談で言ったことに嫌悪感を抱いてしまったり。
そんな自分が不器用だと自覚済みだ。
ほんと、つくづく生きにくい性格をしている。