総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


(あいつらを二人きりに……?)


「幻は、とっくに仕事向かってんだろ」

「んーん。今日は午後からだってさ」

「は?」

「廊下で、店に電話してるの見た。少しでもユウちゃんの傍にいたいんでしょ」

「……マジかよ」


そこまでしたのか。ユウのために。


「今、ユウちゃんを一人にするのは“危ない”と判断したんだろうね。正解だと思うよ」

「ああ。ユウも色々と精神的にきてるだろうしな」


せめてテレビでの報道だけでもおさまってくれりゃいいが、今はどのチャンネルもユウの話で持ち切りだ。

こんなときは、やっぱり

他の誰でもない幻がユウの傍にいてやるのが一番だ。


……燐の野郎。


二人だけにしてやりたいなんて、粋なはからいしやがるじゃねーか。


「痩せたよね。この二日で、明らかに」

「は?」

「ご飯食べてないんじゃないかな」


食べてない?


(……ユウのことか?)


「あいつは食が細い。それでもきちんとバランスを考えて食っている。仕事場で倒れないようにスタミナつけたいんだとよ」

「愁の前ではね。でも、毎食一緒に食べてるわけじゃないでしょ?」


その通りだ。学校のある日は昼は別々で。


だけど。


そんな……。


「近くにいるのはキミなのに。そういうところが勝てないんだろうね、幻に」
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