総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
燐さんの言葉に顔を真っ赤にさせる愁さん。
女の子みたいに可愛い顔をしながらプレイボーイの燐さんと、頼りになる兄貴オーラ全開でモテそうなのに実は恋愛未経験の純情男子の愁さん。
二人の性格も恋愛観も、全然違う。
口喧嘩が多くて最初は犬猿の仲かと思ったのだけれど、『喧嘩するほど仲がいい』って感じにみえなくもない。
「なにバラエティ番組の注意書きみたいなこと言ってやがる」
「あは。うまいこと言ったね、珍しく」
「珍しくは余計だ」
「あのテロップってさ。胡散臭くない? 本当にスタッフさんに美味しく召し上がられてるのかなー」
「……嫌なこと言うなよ」
「テレビ局との繋がりできちゃった〜。へへ」
「まったくテメェは……見境なく……」
「あったら便利でしょ? あのお姉さん、もうボクの駒だよ」
大人の女性を手のひらの上で転がす小悪魔くん。
……将来がちょっと怖い。
「合コン開いてもらおうか。女子アナなんてどう?」
「勝手にしてろ」
「愁も来るんだよー」
「はあ? なんで俺が……」
「優しく教えてもらいなよ」
「なにをだよ、なにを!」
「身バレが嫌なら適当に偽って参加すりゃいいし」
「……テメェいくつ顔持ってんだ?」
「ひ・み・つ♡」
――ただいま愁さん宅で、作戦会議中。
集まっているのは、
暴走族【黒梦(クロム)】のメンバー。
議題はズバリ
今、世間を騒がせている“失踪少女”
それすなわち
「……お騒がせして、すみません」
わたしのこと、だ。