総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「勝てないって……なんだよ」
なんの勝負だか。
「ユウちゃん、キミの前で無理してなかった?」
「……え……」
【おかえりなさい、愁さん。学校お疲れさまです。今日の晩ごはんは、ハンバーグにしました!】
「いつも通り食べてたのなら。そのあと、こっそり吐いてたのかも」
――ユウ……。
【おはようございます】
【いってらっしゃい!】
「不調に気づいたからこそ、幻は今、ユウちゃんの傍にいる。そう考えると納得がいく。だって幻、いつもなら欠勤どころか遅刻すらしないらしいじゃん。そんな男が半休をとった。甘やかしてるわけじゃない。心から心配なんだろうね」
なあ、ユウ。
俺はお前の苦しみに気づいてやれなかったのか?
「愁もユウちゃんのこと、心配になってきた?」
「そりゃあ……!」
「大丈夫だよ。幻が一緒だから」
「そう、だよな」
鼓動がはやまる。
にじむ汗。
暑さのせいだけじゃない。
(俺がしてやれることは……ないのか?)
「今ごろキスでもしてるのかなあ。あの二人」
「……そういうこと考えるのやめないか」
ただ、ユウが心から安心できることを願う。
その環境を俺も整えてやりたい。
「どうする。帰って、二人が裸で抱き合ってたら」
「やめろって」
「――愁」