総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
って言っても
幻さんはお仕事に向かうから、一人になるけれど。
その間にお洗濯とか、やっちゃおう。
……なにかしていないと色んなことを考えてしまうから。
「夕烏」
「はい!」
行ってきますの挨拶かな。
ちゃんと、笑顔で送り出さなきゃ。
心配させないように。
迷惑かけないように――、
「今日は、もうしばらく一緒にいられる」
(……え?)
「全部話せ」
幻さんなら、
『言いたくないなら言うな』と
きっと、そう言うと思った。
だけど違った。
「今、吐き出せ。俺に。お前の考えていること、すべて」
頭を横に振る。
「言うんだ、夕烏」
「……ぐちゃぐちゃで。汚れた感情です」
聞かせられないよ。
幻さんには、一番、聞かれたくないもの。
「綺麗じゃないんです。わたし」
テレビの映像見ながら
みんなのことが許せないとか考えてしまう。
逃げてきたクセに、こんな騒ぎになってるのに、わたしは間違ったことをしていないなんて考えが浮かんでくる。
こんな汚れた心のわたしは幻さんに愛される資格あるのかな――…。
「綺麗だ」
――正面から、優しく抱きしめられる。
「なにを聞いても嫌いになんてならない。ゆっくりで、いい。だから俺に話してみろ」