総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
はにかむ幻さんを見て、胸が大きく波打つ。
部屋までやってくると、布団の上に、ゆっくりおろしてくれた。
(……もっとされていたかったなんて言えない)
尋常じゃない、心音。
「病院に点滴うちに行きゃ、いくらかラクになるだろうが。今行くのはまずい」
病院で顔と名前を見られたら、わたしが失踪少女だとバレてしまうからだ。
「少しでも栄養あるもん口にできそうなら、とったほうがいい。せめて水分だけでも。無理にとは言わないが、どうする。今飲めそうならスポーツ飲料水グラスに入れてくるが――」
「幻さんっ……」
思わず、幻さんを、抱きしめた。
どうしよう。
止まらない。
「……夕烏」
好き、が。
止まらない。
溢れて、困る――…。
「だいすき。幻さん」
「……思ったより元気みてえだな」
「幻さんのおかげで、どんどん元気わいてくるんですよ」
「そりゃよかった」
「すきです。だいすき」
「……夕烏」
「幻さん」
わたし……幻さんに……。
「抱いて欲しいです」