総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
ついに、警察が動き始めてしまった。
わたしの本名、顔写真、体型
学校名などの個人情報は
テレビはおろか各新聞紙面、インターネット等の媒体を介し驚くような速さで拡散されている。
いくら外を出歩くときにマスクをしているとはいえ、このままでは見つかるのも時間の問題――かもしれない。
「謝らないで。ユウちゃんは、ボクたちのお姫様なんだから」
――ドクン、と胸が大きく波打つ。
そうなのです。
そうなのです……。
なんとわたしは、
黒梦の“姫”に就任したのです。
……といっても。
姫がどういうものか、理解しきれていない。
それでも期待を裏切らないような存在でありたい。
そう願っていると同時に、
(こんな中途半端なわたしが姫なんて名乗っていいのかな、)
……不安もあったりする。
最初に幻さんに姫にして欲しいと頼んだあのときは、勢いの方が勝っていて、今ほど冷静に考えられていなかった。
今は状況が状況だ。
『やりたい』だけで引き受けてしまったこの選択が正しいか、正直なところ、わからない。