総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


ついに、警察が動き始めてしまった。


わたしの本名、顔写真、体型

学校名などの個人情報は

テレビはおろか各新聞紙面、インターネット等の媒体を介し驚くような速さで拡散されている。


いくら外を出歩くときにマスクをしているとはいえ、このままでは見つかるのも時間の問題――かもしれない。


「謝らないで。ユウちゃんは、ボクたちのお姫様なんだから」


――ドクン、と胸が大きく波打つ。


そうなのです。

そうなのです……。


なんとわたしは、

黒梦の“姫”に就任したのです。


……といっても。


姫がどういうものか、理解しきれていない。


それでも期待を裏切らないような存在でありたい。


そう願っていると同時に、


(こんな中途半端なわたしが姫なんて名乗っていいのかな、)


……不安もあったりする。


最初に幻さんに姫にして欲しいと頼んだあのときは、勢いの方が勝っていて、今ほど冷静に考えられていなかった。


今は状況が状況だ。


『やりたい』だけで引き受けてしまったこの選択が正しいか、正直なところ、わからない。


< 6 / 271 >

この作品をシェア

pagetop