総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
――思わず、声に出た。
言ったそばから後悔する。
このあと幻さんは、お仕事で。
わたしは仮にも病人で。
それに、心の準備だってできていないのに。
(なにいってるの、わたし……!)
幻さんの顔がっ。
み、見れない……。
「今日のお前は大胆だな。熱でもあるのか」
コツン、と。
おでこをくっつけらる。
「熱いな」
「こ、これは。幻さんといるからで。熱は、ないのですが……」
「ん?」
まっすぐにわたしを見てくる。
……ああ、ほんと、カッコイイどうしよう。
「お話、します。過去のことを含めて。わたしのこと、知ってもらおうと思います。……だけど」
わたし、今は――。
「……もっと、幻さんを感じたいんです」
「最高の煽り文句だな」
そう言って幻さんが、キスをしてくる。
表面だけが触れる、優しいキスだ。
こんなに幸せな気持ちになるのに
まだ、足りないと思ってしまう。
その気持ちをどうにか伝えたくて
だけど言葉にするのが照れくさくて
幻さんの服を、ギュッと、握りしめた。
「……ぶっ倒れるなよ?」
「いっそ気絶するくらい愛してほしいです」
「お前は可愛い顔をしてとんでもないことを言うな」
自分でもこんなことを言っているのが信じられない。
でもね、幻さん。気づいてないでしょ。
「幻さんが言わせてるんですよ……?」