総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
暴走族が不良の集団なんて偏見だ。
いいや、実際不良なのかもしれない。
見た目も素行も派手めな人が多いのは事実。
ときに社会のルールを平気で破る。
それでもわたしの知っている暴走族さんは心の優しい人たちで、想いやりもあれば礼儀もわきまえている。
なんたって、そのトップが
“カレ”なのだから。
ひとりぼっちで行き場のないわたしを
カレは、会ったばかりなのに受け入れてくれた。
【お前の面倒は、俺がみてやろう】
仲間に呼びかけてくれ、
住む場所と勤め先を用意してくれた。
カレはわたしのために、職場の方にきっちりとお辞儀をし、挨拶をしてくれた。
この町にきて一週間ほどしかたっていないが
自然と笑顔が増えた。
会話だって、ずっとずっと増えた。
ここにいるみんな
それから、
お世話になっている職場の方々のおかげで
元いた世界とは比べ物にならないくらい
“ここはあたたかい世界だ”と感じずにはいられない毎日を送ることができていた。