総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
売り場の面積の割に品数が多いと感じたとき
ふと、地元の文房具屋の
ボールペンが並ぶ棚を思い出した。
バリエーションが豊富で、黒のボールペンだけでも何十種と売られていた。
そばで、母親とどれにしようか選んでいる同級生くらいの子がいた。
なのに、俺は
(……どれでもいい)
一番に目に入ったものを手に取るとすぐにその場を離れた。はやく買い物を済ませることだけを考えていたんだ。
どれでもいい、ということは。
どれがいいかわからない――ということでもある。
デザインが好みだから?
安いから?
機能性を考えて?
書き味?
色味?
……そんなの、どうでもいいんだよ。
今ではノートもペンも、日用品も。
まとめて買ってストックを置いておいたり、定期便を頼んでいる。
その都度、選び直したりしない。
こだわりがあるように見える料理も、食材はなんでもよかったりする。