総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
このままでは燐が暴走して、あの女子を口説きに行きかねん。さっさと話題を変えよう。
「この……えんぴつみたいなのは」
「アイブロウ。眉に使うやつ。着色したり形変えたり。そっちもアイブロウ」
「そっちってどっちだ」
「隣のパウダーのやつ。メイクブラシついてるの、あるでしょ」
メイクブラシ? 筆みたいなやつのことか?
「眉はその人の印象を大きく変えるよ」
「へえ」
うちのヒゲ(眉毛がほぼないやつだ)に使ったらどうなるか想像したが一秒でやめた。
「こっちにもペンみたいなものが」
「それは、アイライナー。目元を印象づけるやつさ」
「……自然でよくね?」
「あー、いま愁、オシャレする全世界の人を敵にまわしたね」
「いや、別にそんな気ねーけど。高くないか、どれもこれも」
どのくらいもつかは知らないがペン一本に数千円って。
「ここ、高級ってほどでもないけどそこまで安い店じゃないしね。探せばプチプラが売りのブランドはあるし、細かいことにこだわりがないなら、いくらでも抑えられるよ。百均コスメなんてのも出てるくらいだし。小学生でもお小遣いで買ってるでしょ」