総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「とりあえずさー。まずは今度ユウちゃんが前髪でも切ったら褒めてあげなよ」


なんの話だよ。

前髪の変化についてのコメントくらいなら言えなくもないだろうが。

そういうのって、わざわざ口に出して伝えるのものか?


「もうちょっと女の子とコミュニケーション増やしなって。大学デビューできないよ?」

「する気ねーよ」

「なんで? 今、男子校なんでしょ。でも共学になれば出会いありまくりだよ。女の子いっぱいいるんだよ。ひろーい教室の片隅で暗い顔してていいの?」


……想像できすぎる。


「つかお前、ユウと俺をどうしたいんだよ。おかしなこと考えてんなら――」

「別に。ただ、キミから褒められたユウちゃんは喜ぶだろうし。キミもそんなユウちゃんが見たいんじゃないかと思っただけさ」


――ユウが喜ぶ姿を?


「見たくないの?」

「そりゃあ。見たくないわけではないが……」

「なら、褒めてあげなって。あくまで自然にね。愁がキザなことしたら絶対にスベるし」

「受験生にスベる言うな」

「ボクくらいになれば、ナチュラルに台詞が出てくるけどさ。愁は不器用だから、あらかじめ用意しておくといいよ」


たしかに俺は口下手で。女子の気持ちなら燐の方がわかってやれるかもしれねーけどよ。


「そんな打算的に動いて相手に気持ちが伝わんのかね」

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