総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「いいや。すべてだよ」
ムキになる燐が、燐らしくないと思った。
ガキっぽいようで
どこか冷めてて
なんでこんなにもお前は掴みどころねーんだろうな。
「なにが残るって?……残す必要あるの?」
笑ったり
とぼけたり
話聞いてるかわかんねぇお前が
「ないでしょ」
ここまで感情を剥き出しにするようなこと
たぶん、これまでなかった。
「まあ。なんでもいいけどさ。キミとわかり合える日が来るなんて一生来ないだろうから」
……ひょっとしたら燐は
少しずつ変わっているのかもしれない。
本人に自覚はないのかもしれない。
だけど、それに、幻は気づいていて。
いいや。
――それを見越して拾ったのだとしたら?
(……踏み込んでみるしかねーよな)
まだ16のガキなんだろ。
いくらなんでも
孤独に生きるのは辛いんじゃないのか?
「たとえばボクがボロボロのドブネズミみたいだったとして。キミはこんな風に一緒に買い物してまわれるの?」
「は?」
「恥ずかしいだろ。そんなやつ。生きる価値ないんだよ」