総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「ほんと? だったらデートしよ」
抜かりねーな、お前。
「またそんなこと言って。燐くん忙しいでしょ」
「断る理由をボクにするなんて相変わらずエミリちゃんズルいな」
「えー?」
「いつになったら遊んでくれるの。まだ我慢させる気?」
ふぅん。
この人、燐が誘ってもなびかないのか。
「ほんと若いな、燐くんは。眩しいよ」
「誤魔化さないで。ボクはたしかに美しいけどー、エミリちゃんだって綺麗だよ」
どうでもいいが
燐が女口説くとこ、見たくねぇな……。
「ボク、エミリちゃんのためなら無理矢理でも予定あけるから」
ここまで燐に言わせるのか。
いや、でも、そんなこと言って約束すっぽかしたり振り回したりしそうなやつだコイツは。
「どうしようかな」
「迷うってことはYESってことだよね」
この若さで店長。
……仕事のできそうな雰囲気がある。
それに、なぜか、芯が強そうな人だと。
そう感じられずにはいられなかった。
そこまでセレブって感じには……見えない。
燐は、てっきり“金持ち”にしか声をかけないと思っていた。
それこそマンションやバイクをポンと用意したりするような。
だから、こんなバリバリ仕事してますって人に近づくのは少し意外で。
ひょっとしたら燐と同じものが好きな人だから
二人にならわかり合えるものがあるのだろうか、なんて俺はこのとき考えていた。