総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
顔をあげると、
いつの間にか燐がしゃがんでいた。
同じ目線の燐。
笑っているが。笑っていない。
燐が、“女嫌い”……だと?
「そんな話、信じられるか」
だってお前は。好きだろ。
いつも――。
「うざいくらい女子のハナシしてるだろ」
「頭つかわずにできるからねー」
「“お姉さん”とのデート邪魔されたら怒るじゃねぇか」
「仕事の邪魔されて怒らない人いるー?」
「仕事って……」
「ビジネスなんだよ、愁。ホストがお客の前で“あなただけの王子様”を演じるように、ボクもそうしてるだけ」
なにがビジネスだ。なにが王子様だ。
「お前の日常。全部そうだって言いたいのかよ」
「そうさ」
「狂った野郎だとは思ってたが。そこまでだったとはな」
「言ったでしょ。どうでもいいものにだって。苦手にだって触れるようにしてるって」
それが、お前の、本当の気持ちだとして。
嫌いな女性に笑顔をふりまくのだとして。
――なんのために?
自己犠牲して。
相手の気持ち、ないがしろにして。
……そんなことして、なんになるんだよ。
なあ、燐。
「金のためか?……なにか、金が必要な理由でもあるのか」
「お金はいくらでもあればいいよね。不自由しないし。なんでも手に入るし」
「入らない」
「ボクの欲しいものはお金で買えるものだけだから。なんだって手に入るよ」
「……そんな寂しいこと言うなよ、燐」